モンテッソーリ教育って?・・・・・世界が認めた、100年以上続く教育法

 モンテッソーリとは、マリア・モンテッソーリというイタリア最初の女医博士の名前です。montessori彼女が作った教育法をモンテッソーリ教育法といいます。

 モンテッソーリは医学的視点で客観的なアプローチにより子どもの成長を観察し、独自の教育法を作り上げました。1907年にモンテッソーリ教育を実践する「子どもの家」がイタリアで設立されて以来、100年以上にわたり今も世界中で実践されている教育方法です。

 日本では幼児教育としての認知が主ですが、世界では高校、大学まで広がっています。

 モンテッソーリ教育は常に子どもが主体であり、子どもの自立を援助することが大きな目的です。自立していて有能で、思いやりがあり、生涯学び続けることができる人間像を目指しています。

モンテッソーリ教育の目的・・・・・自立した人間に育てる

 モンテッソーリ教育は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学びつづける姿勢を持った人間に育てる」ことを目的としています。
 子どもたちは「1人でできるようになりたい!」という強い思いを持っています。その力によって、様々な興味や好奇心を持って、自ら様々な事に取り組んでいきます。

 幼児期の子どもが「自分でやる!」と言うのはこの思いの現れです。
 モンテッソーリ教育は、この「1人でできるようになりたい!」という子どもたちの想いに寄り添い、できるように援助していくことで、子どもの「自立」を促していきます。

 これから生きていく長い人生において、自分で考え、決めて、最後まで行動し続ける、といった自立した人間形成を目指すのがモンテッソーリ教育の目的です。


モンテッソーリ教育を受けた子どもの共通した特徴

 モンテッソーリ教育を受けた子どもたちの追跡調査として、有名大学への合格実績や大手企業への入社実績のようなものはありません。これは、合格実績などの情報だけが先行してしまうことを懸念しているためです。
 しかし、共通した特徴があることがわかっていますのでご紹介します。
モンテッソーリ教育を受けた子どもの特徴
・順序立てて、ものを考えることができる。
・何をするにも、計画を立て、順序を踏んで、着実に実行する。
・段取りがよい。
・省略しない。
・状況の読み取りが速く、臨機応変に対処することができる。
・わずかな差異に気づき、道徳性が高い。
・ひとりでだじろがない。責任ある行動ができる。
・礼儀正しい。

相良敦子著 「モンテッソーリ教育を受けた子どもたち」 より

モンテッソーリ教育の考え方

モンテッソーリ教育は「子どもの観察」から始まります。

子どもの観察 モンテッソーリは医師であったことから、患者を診察して病名を探り当てその病気に対して効果的な治療法を選択するように、子どもの教育においても、子どもの行動を観察してその子どもの状態を把握することが大切であると考えました。ピントが合っている治療方法こそ症状の改善がみられるのと同様に、モンテッソーリ教育ではピントが合った活動を選択することを大切にしています。

 子どもを観察する際のポイントが「敏感期」と言われるものです。モンテッソーリ教師の役割は子どもがどのような「敏感期」にいるのかを観察し、把握することから始まります。
 「敏感期」とは、ある事柄に対して強い興味を持つ時期のことを言います。
平たく言えば、何に興味を持っているのかを探る、ということです。

 子どもがふとした時に数を「いち、に、さん、よん・・・」と言ったり、車のナンバーを「よん、いち、に、さん!」と言ったりすることは皆さん経験があることかと思います。これはその子どもが「数の敏感期」にいることの証拠です。「数の敏感期」にいる子どもが数に関する活動を始めるとアッという間に、しかも楽しく数を身につけてしまいます。水道の水を出しっぱなしにして、ずーっとそこに手をかざしている、といった様子もよく見る行動ではないでしょうか。これは、手にふれる水の水圧や冷たい感覚が楽しくてたまらない状態です。これは「感覚の敏感期」にいることの現れです。

 0歳から6歳までの子どもたちには、様々な敏感期が存在します。子どもたちは敏感期に合った活動をすると、いとも簡単に、楽しく様々なことを身につけることができます。
表に表すと以下のような傾向です。
敏感期一覧

 大人が何かを身につけようとするときには、少なからず努力が必要になります。しかし、敏感期にいる子どもたちは、手先の器用さや「文字」、「数」などをいとも簡単に身につけてしまいます。その反対に敏感期が現れていない子どもに「文字」や「数」を教えることは大人、子ども共に不幸なぐらいお互いの精神をすり減らします。無理な教え込みは、それ自体を嫌いなものにしてしまう可能性もあります。
 モンテッソーリ教育は敏感期に合わせた活動を行うことで、子どもに強制したり、無理に教え込んだりすることなく、一人でいろいろな事ができるように手助けをしていく進め方をしていきます。一人で出来るようになった経験をを数多くしている子どもは「自分はできるんだ」と自分に自信を持て、苦しいときにも自分を信じることができる人間に育っていきます。



子どもが持っている「自己教育力」を信じる。


自己教育力「自己教育力」とは、様々なことを自分で学び、身につけることができる力をいいます。この「自己教育力」は子ども全員が持っています。
 2本足で歩くために大人が「○○ちゃん、歩くためには、最初に右足に体重をかけて・・・」といったように教えたでしょうか。生後まもないころは全く動けなかったのが、誰にも教わることなく3か月ごろから手足をバタバタさせたり、寝返りを打つようになります。そこから、ずりばい、ハイハイ、といった段階を経て立つようになります。

 子どもは自分で練習していろいろな事を身につけることができる存在です。一人でできるようになりたい!という子どもの声の具体的な行動が「敏感期」になります。

モンテッソーリ教育の活動とは



一般的な学習スタイルでは、同学齢のクラス編成で全員○月の第△週には□の活動を行う、という形が多いのですが、モンテッソーリの活動には細かなカリキュラムがありません。
モンテッソーリの活動は敏感期に沿った形で用意されています。その都度子どもの興味に合わせた活動を行い、楽しく手先を使いながら知識も増やしていきます。
その活動は大きく分けて「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「算数教育」「文化教育」5つの分野に分かれています。 詳しくはこちら⇒「どんなことをするの?」